Story 「さよなら、ニジッセイキ」 原作/生田萬『夜の子供』より 演出/梁木靖弘(表現学科教授) 売れない女性マンガ家 ヤスベーは、25年前の 自分の家庭を漫画に描いている。 父がいて母がいて、自分がいた。 妹カスミが生まれ、出産で母が 死んでしまう。 男の子がほしかった父和正は、 少年ジェットのように 「ウー!ヤー!ター!」と 気合を入れて、時間をもどそうとする。 妻ヨキコが死ぬ前の、あの時間へ! ヤスベーは、マンガの中の 25年前の父に向かって、 「ボクだよ」と呼びかける。 もう一度、全部やり直そうよ、と。 記憶の中で自己増殖し続ける マンガの世界。 そこは過去と未来がネジまがり、 グロテスクに現実と妄想がこだまする、 ノスタルジアの冒険世界。 だが、それは本当の世界なのだろうか。 これは、生まれてこなかった思い、 そうなればいいなあと思いながら、 ならずに終わってしまったことの、 遠く懐かしいモノガタリである。 |